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2005年11月20日

Books ]  「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」 佐藤 優 (新潮社)

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて外務省国際情報局分析第一課に勤務し、「鈴木宗男事件」にて背任と偽計業務妨害の容疑で勾留後、執行猶予付き有罪判決を受け控訴中の佐藤優氏による、事件の真相を暴く内幕手記。
国益の為に尽くした氏らの行動が、何故世論に巨悪のイメージを抱かせる事件へと作りかえられたのか。検事すら「国策捜査」と称した事件の真相と、氏の恐ろしいほどに深い知性が伺えます。

「嫉妬心に鈍感」という鈴木宗男氏のパーソナリティと田中眞紀子元外相の対立から、マスコミによる鈴木バッシングが激化しつつある中、外務省幹部から保身の為の鈴木攻撃を勧められた際の考えを以下のように綴る。

私には鈴木氏への想いもある。しかし、それよりも私は、この騒動を私が付き合っていた外国人たちがどう受けとめるかということに関心があった。(中略)もし、私が鈴木氏を裏切れば、ロシア人は今後、日本人外交官がどのような政治家をキーパーソンとして紹介しても、信用しないであろう。

そしてこの「国策捜査」が何故鈴木宗男を選ばなけいけなかったかについて、氏の分析。

現在の日本では、内政におけるケインズ型公平配分路線からハイエク型傾斜配分路線への転換、外交における地政学的国際協調主義から排外主義的ナショナリズムへの転換という二つの線で「時代のけじめ」をつける必要があり、その線が交錯するところに鈴木宗男氏がいるので、どうも国策捜査の対象になったのではないかという構図が見えてきた。

外交官としての行動が断罪されたことに対する、検事とのやりとり。

「今まで、普通に行われてきた、否、それよりも評価推奨されてきた価値が、ある時点から逆転するわけか」
「そういうこと。評価の基準が変わるんだ。何かハードルが下がってくるんだ」


一般人には馴染みの無い外交の世界。作られたイメージの力の怖さ。何が正しかったのか。事件の裏に潜んだ大きな力の一端に触れ、深く考えさせられる名著です。
「国策捜査」という性質から、「黒い穴」に入らざるを得なかった氏が、歴史に真実を残すために語った最終陳述は必読。

投稿者 kou : 23:59 | Permalink | このエントリーをはてなブックマークに追加


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